6年半のテックブログ運用を振り返って気づいたメリットと長く続けるコツ

あけましておめでとうございます、CTOの今村(@kyuns)です。 このテックブログを購読してくださっている読者の皆さん、いつもありがとうございます。 VASILYテックブログも記事を投稿し始めてから約6年半が経ちました。 今回はテックブログを長年続けてきた振り返りと、長く続けるコツについて紹介したいと思います。今年はテックブログを始めてみたい、という方々の参考になれば幸いです。

振り返り

初めてVASILYテックブログに記事が投稿されたのは2011年5月9日、この時から現在までに約6年半の月日が経ちました。余談ですがこの時に紹介した3種の神器は今でも現役です。(QC3はQC30になりましたが) それでは6年半の歴史を軽く振り返っていきましょう。

2011年〜2013年 とりあえず始めてみたフェーズ

2011年から2013年まではエンジニアもまだ5,6名しかおらず、気が向いたら更新する、という運用しかしていませんでした。ブログを書いたことのある人も少なく、皆アウトプットに慣れていなかったのもあり、1つの記事を公開するのも非常に時間がかかっていました。また、通常の開発が忙しい中で、どんどん書いてよと言い出しにくかったということもあり、結果として公開された記事の本数は非常に少ない結果となりました。

2014年〜2015年 手探りフェーズ

2014年になりエンジニアが10名を超えたあたりで、採用強化のためにも本格的にブログを更新していこうと思い様々な試みを行いました。例えばバズりそうな内容の記事を書いてみる、キャッチーなタイトルを付けてみる、記事の公開時間を工夫してみるなど、一般的なブログ運用でも用いられているアプローチを取り入れてみました。 やってみた結果、バズったりホッテントリに掲載されたりする記事もでてきました。ただ、知名度の向上や採用にはいまいちつながっている実感はあまりありませんでした。

原点回帰

時間をかけて書いた記事がバズったりしているにも関わらず、採用にはあまり響きませんでした。 なぜなのでしょうか? 答えはシンプルで、なぜやるのか?というところが抜け落ちていたのが原因でした。 そもそもエンジニア採用が目的なのであれば、技術力の高さや業務内容の魅力を、記事を通して伝える必要があります。その観点が抜け落ちていたことに気づきました。

結局ただバズるだけの記事を書いても、そこにはVASILYという存在が見えることはなく、ただコンテンツが消費されて終わるだけでした。

上記の反省を踏まえて、記事は「業務で行った事に関連する内容」に限定することにしました。

2016〜2017年 原点回帰、運用フェーズ

記事の内容の一新に続けて、ブログの運用も仕組み化するようにしました。 たとえば、毎週1記事は必ず公開することや、公開前の内容をエンジニア達でお互いに校正する、などです。毎週1記事は、エンジニア15名程度だと3か月で全員が丁度1回まわるぐらいの頻度です。 また、ブログの効果をお互いにフィードバックしたり、評価に取り入れたり、様々な仕組み化を行うことによって定常的に記事が公開されるようになりました。定常的に記事が公開されることで、次第にテックブログの効果も実感できるようになってきました。

振り返りを経て実感できたメリット

数年間のブログ運用を振り返ってみて、テックブログを続けることは確実に個人と会社にメリットをもたらすということが分かってきました。 実際に運用してきた結果を踏まえた上で感じたそれぞれのメリットを紹介したいと思います。

個人としてのメリット

1.アウトプットの能力が身につく

会社のブログに記事を書いてアウトプットするとなると、それなりにアウトプットする内容についてしっかりと調べなければなりませんし、うまく文章にまとめる必要があります。これは記事の公開を繰り返すことによって確実に上達します。

2.着実に実績になる

記事をコンスタントに公開していると、色んな人から「あの記事みました!」とか「うちでも同じような実装をしているので相談したい」という声を聴くようになります。どんな細かい内容だとしても、必ず何らかのフィードバックを世間から得ることができます。 細かいアウトプットが積み重なることで、勉強会などでも「あの記事を書いた○○さん」という形で認識してもらえることもあり、個人としてのPRや実績に繋がります。また記事を見た方々から登壇依頼があったりすることが多数あります。 これは弊社の新卒エンジニアを見ていても全員同じような経験をしているので、突出したエンジニアだけが効果があるというよりは、誰でもアウトプットすることにより確実にメリットが生まれるということを証明していると思います。 例えば現在「XPath」 「Swagger」 「Standard SQL」などの単語で検索した時、最上位に出てくる記事はどれも弊社新卒エンジニアが書いた記事ですし、今もなおアクセスが伸び続けています。

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会社としてのメリット

1.知名度向上

面接をしていると、テックブログの記事を通してVASILYという会社を知ってくれた方に多くお会いします。VASILYはクローラーや機械学習のことをやっている、という認識は多くの初対面のエンジニアの方々が我々に持っている印象です。 これは弊社の記事だとクローラーや機械学習系があるのですが、この会社は沢山のECサイトをクロールしてるんだとか、ファッションのデータをつかって新しい取り組みを色々行っているんだ、ということを伝えることができている結果だと思います。

クックパッドやメルカリなど誰もが知っているサービスならまだしも、僕らが運営しているサービスは女性向けであり、TVCMをやっていた時期でさえも男性エンジニアの目に触れることはほぼありませんでした。 サービス自体を知らなくてもその中で使われている技術に興味を持って、そこからサービスや会社に興味を持ってくれるという方々がほとんどでした。これはまだ名前の知られていないベンチャーやスタートアップだからこそ発生する問題だと思いますが、だからこそ小さい会社がテックブログで発信する意味があると思います。

会社に興味を持ってもらえる軸はたくさんあっていいと思いますし、記事を更新することで、会社の知名度向上には少なからず役立っていると感じます。

2.採用力強化

テックブログを更新し続けることは採用につながる、と恐らくどの会社も思っていることでしょう。もちろん、僕もそう思っていますが、記事を書いたからと言って直接採用に繋がるものではありません。直接的な採用効果というよりは、間接的に役立っている印象です。

例えば、エンジニアとして選考をうけてくれる方々はみなさんテックブログを読んで来てくれますし、会社全体としての技術力の評価や会話のきっかけになるケースが多くあります。 検索してて記事を読みました、とか仕事で役立ちました、とかそこから興味を持ってくれる人が多くいます。もちろん、クローラーや機械学習以外にもiOS,Androidなど様々なジャンルでいくつも記事を投稿していますし、地道な積み重ねが確実に採用につながっていると言えます。

3.営業力強化

昨年は弊社テックブログの記事を見て、同じことをやりたい、ぜひ一緒に開発してくれないか?という問い合わせが非常に増えました。例えば画像解析やディープラーニング系はGIGAZINEさんで紹介されたこともあり、非常に多くの問い合わせをいただきました。そこから実際にビジネスに繋がった案件もありますし、ダイレクトに会社の技術力をアピールする場所としては最適だと思います。

以上のように、個人や会社にとって非常にメリットがあることが続けていくうちに分かってきました。 次はテックブログを続けてきた中で、長く続けるコツがいくつかあるので紹介したいと思います。

長く続けるコツ

テックブログを長く続けていくコツは一体なんでしょうか? 最も必要なことは「文化の醸成」です。 文化を作るためには、記事を更新し続けなければなりません。 更新し続けないと、書くメリットも実感できません。 書くメリットを実感し、アウトプットを繰り返すうちにそこからチームとしての「文化」が生まれます。文化が生まれるほど組織運営において強力なことはありません。 ではどのようにすれば記事を更新し続けれるような「文化」をつくることができるのでしょうか?

我々は以下のような仕組みをつくることによって、アウトプットを出しやすい環境を作るようにしています。

まさかりを恐れない雰囲気を作る

ブログを公開するのをためらう心理的障壁の1つとして有名なのが通称「まさかり」と揶揄される行為です。人気になった記事であればあるほど色んな種類のコメントがつきますし、時には自分の知識不足により罵倒されることもあるでしょう。そして100個の賞賛のコメントよりも1個の罵倒コメントのほうが記憶に残るものです。アウトプットに慣れていない人は、コメントを真摯に受け止めすぎて1人で抱え込んでいると辛い思いをすることもあるでしょう。そこで弊社では毎週行われるTECHMTGでこういうコメントついてたよね〜などみんなで話しあったり時には笑い飛ばしたりします。そういうフォローしたりする場があることで、助け合う空気を作り、心理的ハードルを下げることに貢献しています。

しっかりと評価する

テックブログを書くという行為に対して、評価に取り入れてる会社や全く評価とは関係ないという会社など、色々評価方針はあるでしょう。しかしながら弊社ではテックブログやQiitaへの投稿、OSSへの貢献など全てのアウトプットは評価に取り入れています。

VASILYには「エンジニアリングマニフェスト」というものがあり、この最後に「インターネットに貢献する」という項目があります。

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インターネットに貢献するという項目は、普段我々が利用しているOSSや参考にしている情報は必ず誰かがアウトプットしたものであり、我々もお世話になっている分、同じことをしてインターネットのエコシステムに貢献すべきだという観点から作られた項目です。 この観点からも、テックブログでの発信も評価につながるようになっていますし、もちろん業務時間を用いて記事を書いています。

校正の品質を上げる

記事の校正には非常に時間がかかりますし、自分で読むと意味が伝わると思っていても、違う人が読むと意味がわかりにくかったりする部分があることがよくあります。 弊社では校正の品質を上げるために自動手動の2つの校正手法を用いています。 まず、自動校正にはtextlintを用いており、メンバーがQiita:Teamにテックブログの下書きを投稿すると自動的にLinterが走るようになっており、コメント欄に校正結果が反映されるようになります。このように誰が見てもわかる間違いはbotが指摘してくれるようになっています。 詳しくはQiita:Team + Hubot + textlintで文章校正を自動で実行するでも解説しています。 f:id:kyuns:20180109020913p:plain

また、botでは見つけれないような伝わりにくい表現やわかりにくい場所などは他のメンバーが積極的に指摘してコメントしてくれます。

メンバーの力を借りる

さきほどの校正でももちろんチームの力を借りていますが、他の場所でももちろんチームの力を借りている部分があります。 たとえば、弊社ブログは当番制にしているため、自分の番が来週だ、という時に丁度たまたまリリースが重なってしまい、時間の確保が難しくなることもあるでしょう。そのような時はTECHMTGで変わってくれる人を募集したりして、うまく交代することによって記事の公開を続けることができています。

まとめ

以上、テックブログを振り返ってみて気づいたメリットや長く続けるコツを紹介してみました。

テックブログ運用はチームの協力がないと成り立ちませんし、続けていくことは非常に難しいことだと思います。 日頃VASILYテックブログを更新し続けているメンバーには本当に感謝してもしきれません。

運用するのは大変ですが、今年も色んな分野で新しい会社やサービスが誕生すると思いますし、世の中にもっとテックブログが増えていくといいなと思います。 様々なサービスの裏側の技術を覗けることはエンジニアとしても非常に楽しみです。

2018年、VASILYは新しい節目を迎えます。 世の中がもっと便利になるようなサービスをみなさんにお届けしたいと思いますし、その裏側をこのテックブログでも随時紹介していく予定です。 今年もVASILYテックブログをぜひ楽しみにしておいてくださいね。 よければRSSの登録や、はてなブログの購読ボタンをぜひ押してみてください。

VASILYでは一緒にテックブログを書いてくれるメンバーを募集しています、我こそはという方はぜひ以下からご応募ください。

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